2-4.裁判離婚とは


協議離婚には応じてもらえず、家庭裁判所による調停や審判も不調に終わったけど、どうしても離婚したいときは家庭裁判所に提訴(*1)する他ありません。ここで勝訴すれば相手がどんなに拒んでも強制的に離婚させられます。

*1:2003年7月の人事訴訟法制定により、離婚訴訟を提訴するところが家庭裁判所になりました。

裁判となると、弁護士に依頼する必要があり判決までに時間もかかります。このため、経済的にも精神的にも負担が大きいです。また、必ずしも納得のいく結果が得られるとは限りません。慎重に考えた上で、裁判に持ち込むかどうか決めた方がよいです。

なお、裁判では離婚請求の他にいくつかの請求ができます。請求できるのは、親権者の指定・養育費・慰謝料・財産分与です。
ただし、親権者の指定・養育費・財産分与については、単独で請求することはできません。必ず離婚請求と同時に請求する必要があります。このため、離婚請求が取り下げられたときは、同時にこれらの請求も却下されます。慰謝料については、単独で請求することが可能です。

 

裁判の手順

裁判になった場合、原告・被告双方とも弁護士に依頼する必要があります。

原告側は証拠となる物を準備し、訴状を作成して地方裁判所に提訴します。
被告側は原告側が提出した訴状に対し、答弁書を作成して提出しなければなりません。答弁書には原告側が主張している内容について、認容・否認・不知などと項目ごとに記載して、裁判所が指定した期日までに提出します。

裁判の流れは以下のようになります。

(1)弁論期日指定
(2)口頭弁論
(3)証拠調
(4)口頭弁論終結
(5)判決

注意しなければならない点として、被告側が答弁書を提出せず且つ第1回口頭弁論にも出廷しない場合は、原告の訴えを認めたと見なされて、被告敗訴の判決が出る可能性があります。

なお、判決に不服がある場合は2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。

 

提訴できる条件(法定離婚原因)

裁判に持ち込む場合は、以下に示すいずれかの条件に該当していないと提訴することができません。
いずれの場合のおいても、それに該当する証拠が必要になります。

(1)配偶者に不貞な行為があったとき

不貞行為とは、「配偶者以外の異性との性行為」の事を言います。

提訴できる不貞行為として、性行為の存在を「確認」または「推認」(推測)でき、且つその証拠がある場合に認められます。
異性と旅行に行ったり、会ったりした場合でも、性行為の存在を認めるには不十分な場合、「不貞行為」とは認められず「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまります。

不貞行為は「異性との性行為」と定義されているため、同性愛に関しては「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまります。

 

(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき

正当な理由がなく一方的に別居したり、暴力などで家にいられないようにしたり、生活費を渡さないなど「同居の義務」、「協力の義務」、「扶助の義務」に反しているときに「悪意の遺棄」と見なされます。

ただし、冷却期間をおくための別居や夫婦関係が破綻した後別居、また相手の不貞行為による別居などは「悪意の遺棄」とは見なされません。

 

(3)配偶者の生死が3年以上明かでないとき

相手の「生死」が3年以上わからないというのは、最後に消息が分かった時から始めて3年以上、生きているのか死んでいるのか親兄弟・親戚・知人・勤務先等誰にも分からく、警察への捜索願を出しても分からない状態のことを指します。居場所はわからないけど、生きているのが確かなときはこれに該当しません。

 

生きているらしいけど居場所が分からないと言うのは「行方不明」であり、「生死不明」とは違います。「行方不明」の場合はこれに該当しません。

なお、3年以上生死不明の場合は、調停を経ずに提訴することができます。原則として離婚は調停前置主義ですが、相手の生死が分からず調停ができないと言うことで直接提訴できるようです。

 

(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

相手が病気等であれば、夫婦である以上お互いに協力し扶助する義務があります。しかし、「強度の精神病で」且つ「回復の見込みがない」場合において、一定の条件を満していて且つ裁判所が認めれば離婚することができます。

認められる精神病:躁鬱病、痴呆
認められない精神病:ノイローゼ、アルコール中毒、劇薬物中毒など

認められる精神病で且つ以下の条件を満たす必要があります。また、条件を満たしていても裁判所が婚姻を継続させた方が良いと判断したときは離婚は認められません。

・治療が長期間に渡っているとき

・離婚請求する人が、配偶者の生活及び療養を誠実に面倒見てきた

・離婚後の、看病や生活・療養に関わる費用について、具体的な計画がある

上記の条件を全て満たさなくても、婚姻を継続できない事情がある場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」で離婚できる可能性があります。

 

(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

ほとんどの法定離婚原因はこの項目に当てはまるのではないのでしょうか。以下のような場合がこの項目に当てはまります。

・同居に耐えられないほどの暴力・虐待

・性格の不一致

・性の不一致

・同性愛

・長期間の別居(5~10年以上)

・過度の宗教活動

・特殊な難病(アルツハイマー等)

・交通事故や病気などによる重度後遺障害

・浪費・借金・酒乱等

 

有責配偶者からの提訴は認められるか

有責配偶者とは、婚姻を破綻させた原因を作った者のことを指します。以前は、有責主義であったため有責配偶者からの訴えた認められませんでしたが、昭和62年の最高裁判決によって破綻主義へと変化しています。

破綻主義への変化によって、有責配偶者からの訴えも認められるようになってきましたが、その条件はかなり厳しいものとなっております。

・夫婦の別居が両当事者の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること。

・夫婦間に未成熟の子供がいないこと。

・一方が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況におかれない。

以上の3つ等に当てはまる場合は、有責配偶者からの離婚請求が認められるようです。ただし、勝訴するかどうかは別です。

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