5-2.再婚相手に子供がいる場合の戸籍上の関係


離婚して子供が母の戸籍に入籍し、後に再婚して夫となる人の戸籍に入る場合でも、そのままでは子供の戸籍は母の戸籍に残ったままになります。母の戸籍に残ったままですので、母と子供の姓は違います。ただし、夫となる人が母の戸籍に入った場合は別です。この時点においては、子供は夫となる人の法定相続人にはなることはできません。

 

再婚相手の戸籍に入れるには(入籍と養子縁組)

子供も再婚相手の戸籍に入れたい場合は、二つの方法があります。

一つは、家庭裁判所に「子の氏の変更」を申し立てます。許可が下りた後、母の氏を称する「入籍届」を出すことで再婚相手の姓を子供に名乗らせることが可能です。
ただし、この際の注意点として再婚相手と子供の間には法的な親子関係は成立していませんので、法定相続人にはなれません。

もう一つは「養子縁組」をすることです。養子縁組届を役所へ出すことによって、再婚相手と子供の間に親子関係が成立します。入籍届と違い、家庭裁判所に許可を申し立てる必要はありませんし、婚姻届と同時に提出することが可能です。(手続き上は婚姻届→養子縁組の順)
戸籍上の続柄は「養子(養女)」として記載され、再婚相手は養子を扶養する義務が発生します。また子供は再婚相手の法定相続人になることができます。この他に子供は実父母の法定相続人でもあります。

養子縁組届の手順は以下の通りです。

・養親または養子の本籍地または住所地の市区町村役場に提出します。
・届出人は養父母。15歳以上の時は養子となる人も提出できます。
・養子縁組届を1通提出して下さい。本籍地以外で届け出るときは届出人の戸籍謄本が必要です。
・届出には成人の証人が2名必要です。
・養父母・養子それぞれの印鑑が必要です

 

養子縁組の解消(養子離縁)

再婚したけれどもまた離婚する場合やその他の事情で、養子縁組を解消する場合は「養子離縁届」を役所に提出しなければなりません。養子離縁の方法は「協議離縁」、「調停離縁」、「裁判離縁」の3種類があります。

協議離縁
養子が15歳以上の場合は養親と直接協議をし、15歳未満の場合は養親と養子の法定代理人が協議して離縁を決めます。協議が成立したら役所に「養子離縁届」を提出します。協議離縁の届出の手順は以下の通りです。

・養親または養子の本籍地または住所地の市区町村役場に提出します。
・届出人は養父母。養子が15歳以上の時は養子の人も提出できます。
・養子離縁届を1通提出して下さい。本籍地以外で届け出るときは届出人の戸籍謄本が必要です。
・元の戸籍に復籍する場合は、復籍する戸籍謄本も必要です。
・届出には成人の証人2名の署名・押印が必要です。
・養父母・養子それぞれの印鑑が必要です。

調停離縁
協議ができない、または協議が成立しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。申立は養親または養子いずれからでもできます。調停が成立すれば調停調書の謄本まはた審判書を添えて提出します。
裁判離縁
調停も不成立になった場合は、裁判を提訴することになります。以下の理由がなければ離縁は認められません。

・養親または養子から悪意の遺棄をされたとき。
・養親または養子の一方の生死が3年以上不明のとき。
・その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき

調停・裁判離縁が成立したときの届出の手順は以下の通りです。

・調停または裁判の訴えを起こした人が養親または養子の本籍地または住所地の市区町村役場に提出します。
・調停の成立または裁判の確定から10日以内に提出しなければなりません。
・養子離縁届を1通提出して下さい。本籍地以外で届け出るときは届出人の戸籍謄本が必要です。
・調停調書の謄本または審判書、判決書の謄本または確定証明書のいずれかを提出して下さい。
・元の戸籍に復籍する場合は、復籍する戸籍謄本も必要です。
・訴えを起こした人の印鑑が必要です。

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